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従業員承継

MBO(マネジメント・バイアウト)とEBO(エンプロイー・バイアウト)とは?基礎知識から最新事例、中小企業の事業承継への活用の可能性について解説!

近年、中小企業の事業承継の一つの手段としてMBO(経営陣による買収)やEBO(従業員による買収)という手段が注目されています。今回は、MBOやEBOについて、また、中小企業の事業承継への活用可能性について解説いたします。

1.MBO(マネジメント・バイアウト)とEBO(エンプロイー・バイアウト)とは?

MBOとは?

MBO=Management Buy Outの略語です。企業の「経営陣」が自社の株式の過半数以上を買収することにより、会社の経営権を取得する手法です。

経営陣が経営権を握ることで、以下のような場合に活用されます。

  • 外部からの敵対的買収を防ぐ
  • 短期的な株主利益を考慮せず、長期的な視点で経営を行う
  • 創業者やオーナーが高齢化した際の事業承継
  • 大企業からの部門独立

 

一般的に、自社の株式を取得するために、経営陣がSPC(特別目的会社)の法人を利用して金融機関やファンドから資金を調達する、または、自己資金を投入し既存の株主から株式を買い取るという形式をとります。

 

EBOとは?

EBO=Employee Buy Outの略語です。企業の「従業員」が主体となって自社の株式を買収し、経営権を取得する手法です。

従業員が経営権を握ることで、以下のような場合に活用されます。

  • 外部からの敵対的買収を防ぐ
  • 短期的な株主利益を考慮せず、長期的な視点で経営を行う
  • 創業者やオーナーが高齢化した際の事業承継
  • 大企業からの部門独立
  • 従業員のオーナーシップの向上施策

EBOのプロセスには、従業員が共同で資金を出し合う、もしくは、従業員持株会を通じて株式を買い取る方法等があります。また、MBOと同じくSPC(特別目的会社)の法人を利用して金融機関やファンドから資金を調達する方法も考えられます。

*MEBO(Management and Employee Buy Out)という、経営陣と従業員が共同して株式を買い取り、企業の経営権を取得する、EBOとMBOの中間的な手法もあります。その場合、経営権は現経営陣が継続することが多く、従業員は株主の立場として買収後の企業の経営に関与することになります。

 

MBOとEBOの違いと共通点

①主体の違い

MBOは「経営陣」が主体となるのに対し、EBOは「従業員」が主体となります。

②目的の違い

共通点が多いですが、MBOは主に経営安定化や経営戦略の自由度を高めるために行われ、EBOは左記だけではなく従業員のオーナーシップ向上等の多角的な目的が掲げられることがあります。

③共通点

内部の関係者が企業の経営権と所有権を持つことで、外部影響を最小限にし、長期目線で企業の経営方針を維持することができます。

 

2.MBO・EBOのメリットとデメリット

MBOのメリットとデメリット

MBO・EBOのメリット

  • 経営の安定性
    現経営陣がそのまま経営を引き継ぐため、企業文化や経営戦略を維持しやすい
  • スムーズな経営承継
    経営陣は既に企業の内部事情を熟知しており、事業承継が円滑に進む
  • 外部干渉の排除
    投資家等の外部干渉を防ぎ、長期視点での経営が可能となる
  • 従業員のモチベーション向上
    従業員が会社の所有権を持つことで、会社並びに仕事に対するエンゲージメントが高まる

MBO・EBOのデメリット

  • 資金調達の困難さ
    多くの場合、資金調達をする必要があり、難しい場合がある
  • 負債リスク
    借入金等を利用する場合、負債の返済が企業経営に重くのしかかる
  • 経営陣・従業員の負担増
    経営陣・従業員にかかる責任とプレッシャーが増大する
  • 意思決定の遅延
    従業員が複数となることで、意思決定のプロセスが複雑化し、迅速な経営判断が難しくなる場合があ

 

3.MBO・EBOを成功させるためのポイント

MBOやEBOを成功させるためには、以下を考慮する必要があります。

  1. 適切な事業承継計画の策定
    具体的な事業の承継計画を立てることが重要です。計画には、現状の把握、資金調達方法、買収プロセス、承継後の経営方針等が含まれます。
  2. 専門家の助言を活用
    MBOやEBOを成功させるためには、アドバイザリー会社や弁護士等の専門家の助言を受けることが不可欠です。これにより、リスクを最小限に抑えることができます。
  3. 従業員の理解と協力
    従業員全体の理解と協力が不可欠です。従業員への情報共有や教育を行い、新たな経営体制の意義とメリットを十分に理解させることが重要です。
  4. 適切なリーダーシップの確立
    事業承継後のリーダーシップの確立も重要な要素です。新たなリーダーが企業を導くための準備を整え、経営の一貫性を維持するためのリーダーシップ体制を構築する必要があります。
  5. 柔軟な資金調達の工夫
    MBOやEBOの資金調達には多様な手段があります。従業員持株会の活用や、金融機関からの借入、エクイティファイナンス等、状況に応じた資金調達方法を検討することが重要です。

 

4.MBO、EBOの事例

MBOの事例

事例①:ベネッセHD

ベネッセホールディングス(HD)は2024年3月、経営陣による自社買収(MBO)を発表。MBOはスウェーデンの投資会社EQTグループと連携して実行されました。これにより、同社は上場を廃止し、迅速な意思決定を可能にすることで、少子化の影響で低迷する「進研ゼミ」等の教育事業の再建を目指します。また、非上場化により、資本効率を高め、デジタル化や海外展開を推進する計画です。

事例②: ピーシーデポコーポレーション

ピーシーデポコーポレーション(PCデポ)は、2023年5月15日にMBO(経営陣による買収)を発表しました。社長の野島隆久氏が設立した買収目的会社TNIが、株式公開買付け(TOB)を通じて1株480円で株式を取得し、非公開化を行いました。これにより、競争激化する市場環境の中で迅速な意思決定を可能にし、経営の再構築と事業の立て直しを進めています。

 

EBOの事例

事例①: シックス・アパート株式会社

シックス・アパート株式会社は、2016年6月30日にEBOを実施し、インフォコム株式会社から独立しました。経営陣と社員が設立したシックス・アパート・ホールディングス株式会社が全株式を取得し、迅速な意思決定と製品開発を目指しています。これにより、主要製品の成長を促進し、さらなる市場展開を推進する計画です。新体制のもと、お客様やパートナーとの連携を強化し、信頼性の高いソフトウェアやサービスを提供することを目指しています。

事例②:ラクオリア創薬

ラクオリア創薬は、ファイザーの傘下にあった中央研究所が独立して創業しました。2007年にファイザー中央研究所の閉鎖が決定されましたが、従業員は事業の継続を望み、EBOによる独立を親会社に提案、親会社もこれを承認しました。従業員が主体となることで、企業の持続的な成長と安定性が確保され、2011年には大阪証券取引所に上場するまで成長しました。このEBOは日本における成功事例として注目されています。

 

これらの事例からわかるように、MBOとEBOはそれぞれ異なる背景や目的を持ちながらも、企業の成長と独立を図るための有効な手段となっています。

 

5.今後の展望

MBOとEBOは、中小企業の事業承継においても、事例が増えてゆく中で、現実的な手段となっていくと考えられます。近年、弊社のような投資会社や金融機関等が、中小企業のMBO・EBOに積極的に関与するようになっており、資金調達の選択肢が広がっております。それだけでなく、種類株式や持株会社、従業員持株会を活用するスキームの浸透や、親族外の後継者も事業承継税制の対象に加えられたこと等も相まって、広義の従業員承継はより実施しやすい環境が整いつつあります。こうした環境整備が続きや事例が普及すると、多くの中小企業の検討しやすくなってくると予想しております。

 

6.中小企業の事業承継におすすめの相談先

Icon Capitalは、従業員承継投資、助言を行う会社です。一度、Icon Capitalが経営者から株式を譲り受けさせていただき、長期間に渡り従業員に株式を付与していく、従業員承継投資を行っております。上記の従来の従業員承継(EBO:エンプロイーバイアウト、MBO:マネジメントバイアウト)のデメリットを解消し、経営者が引退資金の確保いただけるだけでなく、従業員承継を達成できるという解決策を提供させていただきます(無料審査あり)。

無料説明会を随時受け付けていますので、事業承継の方法の一つとして関心のある場合には、お気軽に電話またはメールでお問い合わせ下さい。

 

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