ここ10年で、M&A(合併・買収)の取引件数は急増し、そのイメージも大きく変わりました。かつてM&Aは、大企業による業界再編や敵対的買収、企業の身売りなど、ニュースで取り上げられる出来事として捉えられていました。多くの企業オーナーがM&Aを話題にするだけで、警戒や反感を招くことも少なくありませんでした。
しかし今や、M&Aは企業の事業承継や成長戦略の一環として、自然に議論されるようになりました。企業の持続的な成長を実現するためには、M&Aが強力な戦略となります。しかし、M&Aの成功には、戦略的な計画から実行まで、緻密なアプローチが求められます。
本記事では、M&Aを活用して企業がどのように成長を加速できるか、その具体的な方法と成功事例を深く掘り下げます。
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M&Aは、市場シェアを急速に拡大するための非常に有効な手段です。特に規模の大きな企業や異業種の企業との合併・買収は、新規の市場への進出や新規の顧客層を開拓する絶好の機会となります。企業はM&Aを通じて市場での競争力を強化し、更に収益性の高い事業への投資が可能となります。
ソフトバンクは2013年、アメリカの通信キャリアSprintを約215億ドルで買収しました。この買収により、ソフトバンクは北米市場でのプレゼンスを大幅に強化するだけでなく、買収後の統合プロセスでは、Sprintの既存ネットワークとソフトバンクの技術を融合させ、通信インフラの効率化とコスト削減を実現しました。この統合により、顧客基盤の拡大と収益の増加を達成し、ソフトバンクのグローバルな競争力を大幅に向上させました。
M&Aを通じて新規事業を立ち上げる主要な利点は、速さです。新たな市場に自社の足場を築くためには、製品開発、市場調査、顧客基盤の構築など、多くのステップを踏む必要がありますが、既に市場で活動している企業を買収することで、これらのプロセスを大幅に短縮し、即座に事業を展開することが可能になります。
楽天は2017年にフリマアプリ「ラクマ」を買収し、また、金融サービス部門を強化するために「楽天銀行」を設立しました。これにより、楽天は単なるECプラットフォームから、金融サービス、物流、広告など多岐にわたるサービスを展開しました。例えば、「ラクマ」の買収により、楽天は競争の激しいフリマ市場に迅速に参入し、ユーザー基盤を急速に拡大しました。この戦略により、収益源の多様化とリスクの分散を実現しました。
M&Aによって、スケールメリットを活用し、コスト削減と業務の効率化を図ることができます。特に、重複する部門や機能の統合によって、経営資源の最適化が可能です。
三菱UFJは2005年、三菱東京UFJ銀行と東京三菱銀行を統合しました。この統合により、年間約9000億円のコスト削減を実現しました。統合後は、行員数の合理化、システム統合による運用コストの削減、営業ネットワークの最適化などが行われ、規模の経済が最大限に活用されました。この成功により、三菱UFJは効率的な運営と業務のスケールメリットを享受しました。
技術力や専門的なノウハウを持つ企業を買収することで、自社の技術的な優位性を強化し、新たな市場機会を開拓できます。
トヨタは2019年、人工知能(AI)技術を持つ「AIP(Artificial Intelligence Platform)」を買収しました。この買収により、自動運転技術の研究開発を加速し、次世代モビリティの実現に向けた基盤を強化しました。トヨタはこの技術を活用することで、自動車業界での技術的リーダーシップを確立し、将来の市場競争において優位な位置を確保しました。
企業規模にかかわらず、日本でもM&Aがますます一般的な手段になってきています。M&Aの本当の果実を得るためには、売却・買収後の展開を視野に入れた戦略を策定し、最後まで目的を見失わずに実行していくことが大切です。
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