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PEファンドとは?PEファンドの概要や中小企業M&Aでの活用について専門家が解説

事業承継をM&Aで行う際、自社の株式を他社に譲渡するのが一般的です。しかし、売却先は企業だけではなく、ファンドに売却する方法もあります。中でも注目されるのがPEファンド(プライベート・エクイティ・ファンド)です。PEファンドは資金提供だけでなく、企業価値の向上や経営支援等多面的なサポートを行います。本記事では、PEファンドの概要や特徴、活用メリットについて、事例を交えて解説します。

 

1.PEファンドとは

PEファンド(プライベート・エクイティ・ファンド)とは、未上場企業の株式に投資し、経営に関与しながら企業価値を高めていく投資ファンドのことです。PEファンドは投資先企業に対して資金だけでなく、経営ノウハウや人材等の経営資源も提供し、企業の成長をサポートします。

 

2.PEファンドの特徴

PEファンドの特徴として、大きく以下の3つが挙げられます。

 

①投資対象企業

PEファンドの投資対象は、上場していない未公開企業です。中小企業やベンチャー企業、大企業の子会社等、様々な企業が対象になります。成長ポテンシャルのある企業や、事業承継問題を抱える企業等が投資先となります。

 

②投資期間

通常、PEファンドの投資期間は3~7年程度となっています。この期間内で企業価値の向上を図った後、株式売却やIPOを通じて資金を回収(=EXIT、エグジット)します。中長期的な視点で企業の成長をサポートするのが特徴です。

 

③特徴

PEファンドは資金提供だけでなく、経営ノウハウの提供や経営体制の整備をサポートします。プロの投資家が関与するため、企業価値向上のための戦略的な経営が期待されます。

 

3.PEファンドの基本構造

 

①PEファンドの出資モデル

PEファンドが投資家から資金を集め、ファンドを設立するまでの流れは以下の通りです。

  • ファンドの設立:まず、ファンドの運営会社(GP:General Partner)がファンドを設立します。運営会社は、PEファンドの投資戦略を策定し、投資先の選定や経営支援等を行います。
  • 出資者の募集:ファンド設立後、機関投資家(年金基金、保険会社、金融機関等)や一部の個人投資家に対して出資を募ります。これらの投資家はリミテッドパートナー(LP:Limited Partner)と呼ばれ、ファンドに出資する代わりに運用成果に応じたリターンを受け取ります。PEファンドは、各出資者から資金を集めることで、企業に対する大規模な投資を可能にします。

出資者が予定していた資金を集め終えた時点で、ファンドは投資活動を開始出来る状態となり、出資モデルが完了します。

 

②PEファンドの収益モデル

PEファンドの収益源は以下の2つです。

  • キャピタルゲイン:PEファンドの最大の収益源は、投資先企業の株式売却や上場(IPO)、または配当による利益です。ファンドは、企業の価値を向上させて株式を高値で売却することで、投資家に利益をもたらします。このキャピタルゲインを確保するために、PEファンドは企業の経営に積極的に関与し、企業価値を高める様々な施策を実行します。
  • マネジメントフィー:ファンド運営に対する手数料で、通常、運用資産の1〜2%程度が設定されます。このフィーは、ファンドの運営会社が投資先の調査、選定、経営支援等を行うための運営コストをまかなうために徴収されます。運営会社にとって、マネジメントフィーはキャピタルゲインを得るまでの間、安定的な収入源となります。

 

4.PEファンドの種類

PEファンドは、その投資先に応じて主に以下の4つの種類があります。

 

①ベンチャーキャピタル

スタートアップや成長初期の企業に投資し、企業の成長をサポートします。リスクは高いものの、成功すれば大きなリターンが見込めます。

 

②バイアウトファンド

成熟した企業の株式を取得し、経営に積極的に関与して企業価値を高めるファンドです。M&Aや事業再編を通じて成長を図ることが一般的です。

 

③事業再生ファンド

経営不振に陥った企業に投資し、経営改善や事業再生を支援します。企業の再生を目指し、長期的な視点で関与します。倒産の可能性も含む投資のため、リスクは高いと言えます。

 

④ディストレスファンド

破産や再建手続が近い企業の債権を安価で取得し、再建を目指すファンドです。企業再生のプロフェッショナルが関与し、企業の再生をサポートします。

 

5.中小企業M&AにおいてPEファンドを活用するメリット

中小企業M&AにおいてPEファンドを活用するメリットとしては、大きく以下の3つが挙げられます。

 

①企業価値の向上が期待できる

PEファンドには経営の専門家や経験豊富な投資家が関与しており、企業価値の向上に向けた取り組みを進めることが出来ます。単なる資金提供にとどまらず、戦略的な経営支援によって企業の成長を加速させることが可能です。

 

②最適な人材の確保

PEファンドは、経営者や幹部の広範なネットワークを活かして、最適な人材を紹介することが可能です。これにより、経営のプロフェッショナルを確保しやすくなり、企業の経営力の強化につながります。

 

③企業文化を維持しやすい

同業他社への第三者M&Aでは、買収先の企業文化に合わせなければならないケースが多々あります。しかし、PEファンドの場合、企業価値の向上に従来の企業文化を維持することが有効であると判断すれば、その文化を尊重し続けることが可能です。特に中小企業のオーナーにとって、長年築いてきた企業文化を守りながら事業を引き継いでほしいという願いを叶えやすい点は、大きなメリットといえるでしょう。

 

6.PEファンドによる中小企業M&Aの事例

 

①寺田組運輸のPEファンド(日本グロース・キャピタル)活用

後継者不在で第三者承継を検討していた寺田組運輸は、「会社のカラーを今のまま継続させたい」との思いからPEファンドとのM&Aを選択しました。PEファンドと協力して事業承継に取り組むことで、企業文化を維持しながら成長を実現しています。

参考:https://www.nihon-ma.co.jp/page/interview/terada_gcjinc/

 

②MURA株式会社のPEファンド(ブルパス・キャピタル)活用

プライベート・エクイティ・ファンドのブルパス・キャピタルは、2022年1月に革小物のファブレスメーカーを譲り受けました。徹底したハンズオン支援によりバックオフィス機能を改善し、労働環境の整備と業績向上を同時に実現しています。

参考:https://www.nihon-ma.co.jp/page/interview/bluepass/

 

7.まとめ

PEファンドは中小企業M&Aにおいて、資金提供だけでなく経営支援や人材の導入等、企業の成長を総合的にサポートする存在です。事業承継や企業価値の向上を目指す中小企業にとって、PEファンドの活用は大きなメリットとなるでしょう。具体的な事例を通じて、PEファンドの可能性を理解し、戦略的なM&Aを検討する際の参考にしていただければと思います。

 

8.事業承継の相談先

事業承継に課題を抱える経営者の方は、ぜひ一度、Icon Capitalへご相談下さい。Icon Capitalは、経験豊富なアドバイザーが、従業員承継を前提とした投資やM&Aに対して助言を行う会社です。

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