中堅・中小企業のM&Aはどのようにしたら上手くいくでしょうか。上場M&A会社の開示資料によると、契約後、成約に至るまでは20%~40%程度と推定されます。この記事では、M&Aが上手くいかなかった要因を掲載します。事業売却を考えているオーナーにとって、事前に把握することで、M&Aの成功確率を高めることが期待されます。
中小企業のM&Aとは、一般的には株式を第三者に売却し、経営権を譲り渡すことです(株式譲渡)。
M&A仲介会社、アドバイザリー会社と契約して、買収オファーが出るまでのフェーズでの失敗要因を掲載します。
中小企業のM&A業界では、一般的な相場感が形成されつつあります。オーナーが自社の価値を高く評価する気持ちも理解できますが、買い手に相場以上の希望条件を提示した場合、大抵は敬遠されてしまいます。
一方、M&Aアドバイザーも、「契約数」自体の目標を負っているケースが多いので、契約前は希望条件で売却できますと甘い言葉を言いがちです。期待値を無理に高く設定すると、双方が不幸になるので慎重になった方がよいでしょう。
多くの買い手に打診しても、一向に買収に興味を示さないケースがあります。
一番の要因は、対象会社の事業内容・強み・課題を買い手に伝えられていないことです。要は「不透明すぎて買収するのが怖い」という状況に陥っています。その原因は、アドバイザーとオーナーの「事業に対する解像度&表現力が不足している」ことにあります。
M&Aは「会社」の売買と思われていますが、検討過程での本質は「情報」の売買です。情報を整理し、魅力的な形で表現し、買い手に提案できない限り、ディールとして成立することは困難です。
1度お断りされた買い手に、同じ会社を持ち込んで成約した事例もあり、どのアドバイザーが情報をヒアリング・整理するかで成果が大きく変わってきます。弊社の様にビジネスDDに強みのある会社に相談いただくのも一つの手です。
慎重なオーナー程、情報流出を恐れて、買い手の数を絞ろうとされます。情報流出のリスクを最大限減らすためには致し方ない部分もありますが、打診数を絞るだけ、マッチングする可能性は低くなることも事実です。
実際に、意外な会社や、異業種の会社が興味をもって成約する事例も多いので、打診する数を絞る場合はマッチングが難しくなるという可能性も考慮すべきでしょう。
例えば、従業員の平均年齢が高い、従業員の数が少ない、キーマンが退職した、訴訟を負っている、株主の数が多すぎる、財政状況が悪すぎる、業績が右肩下がり等、会社に大きな欠陥がある場合は、買い手は敬遠しがちです。
対処法は、事前に治癒する、将来的な治癒方法を提示する、価格に織り込む等あり、これらを行わずに売却活動しても上手くいくケースは少ないです。
オーナーがM&Aに向けて資料提出やインタビューに非協力的な場合も、マッチングで躓くケースが多々あります。その場合、アドバイザーは限られた情報で買い手に提案にいくため、良い提案となるケースは少ないです。
アドバイザーも「人間」です。良いオーナーのためには、身を粉にして引退を支援したい、得をさせてあげたいと思い行動します。一方、信頼関係が薄いオーナーとの仕事は後回しになるのも事実です。オーナーにとっても大切な決断ですので、アドバイザーを上手く使うという感覚で利用していただくことおすすめします。
交渉相手先を1社に絞った後からクロージング(資金決済、株式引渡)までにブレイクした(失敗した)要因を掲載します。
事前に会社の問題を買い手に伝えている場合は、買い手は契約内容や価格反映、若しくはスキーム変更で買収する前提で、買収のオファーを出すことができます。
一方、何らかの理由で伝えていなかった場合は、DDで露見した場合は、信頼関係が棄損し、ディール自体が流れるケースがあります。特に、株式の保有の適法性、訴訟の存在、多額の未払い残業代、取引先との不利な契約の存在等が露見してブレイクしたケースが散見されます。
売却交渉が進む中、他の株主が売却に反対するケースがあります。M&Aは、基本的に100%の株式譲渡を前提としており、一部の株主が売却に応じない場合は、ディール自体が白紙となるケースがあります。事前に株主全員と協議して、合意した状況でマッチングを進める必要があるでしょう。
特に重要な取引先がある場合は、クロージングの前に、事前に取引継続の確認を取り付けることを条件として付けられることがあります。クロージング前に、取引先に告知をしたところ、重要な取引先から契約打切り、条件変更を要求され、M&Aがブレイクするケースがあります。
対策は難しいですが、普段から多様な取引先を開拓する、事後の告知とするように交渉する、取引先告知の際のシナリオを確り準備する等です。
特に重要な従業員(キーマン)がいる場合は、クロージングの前に、事前に継続勤務の確認を取り付けることを条件として付けられることがあります。クロージング前に、キーマンに告知をしたところ、反対や、勤務条件変更を要求され、M&Aがブレイクするケースがあります。こちらも珍しいケースではありません。
クロージング前に、業績が急激に悪化した場合も、M&Aが白紙に戻るケースがあります。買い手としては、業績が下がったことで、価格の目線が変わりますが、売り手としては、気持ちとして受け入れることが難しいためです。
マッチングして相手も定まり、譲渡への気持ちが高まる中でも、最後まで業績を落とさぬ様、細心の注意を払う必要があります。
失敗事例を踏まえて、どうすれば中小企業のM&Aが成功するか、記載させていただきます。
経験・スキルのあるM&Aアドバイザーに委託出来るとM&Aを成功に導かれる可能性が大きく上がります。
優秀なM&Aアドバイザーの場合は事前のインタビューの大切さを熟知しております。効率性だけでなく、ビジネス面や論点を深く理解し、情報を纏めることが出来るか否かで、成約率は大きく変わります。
収益性に見合う相場感の中での希望価格の提示を行うことをおすすめします。大きく相場感を欠く場合は、単に情報流出となる恐れもあり、相場感の中で一番チャレンジングな価格を提示が出来るか否かがアドバイザーの腕の見せ所です。
良くない情報を隠してマッチングした場合も、DD(買収監査)、クロージング前に露見するケースの方が多く、ディールブレイクの要因となります。事前に買い手に提示した上で、欠陥は治癒していきましょう。
M&Aの成立前に従業員や取引先にM&Aの事実を告知することは大きなリスクです。買い手とも交渉の中で、その旨を伝え、事後の告知とするようにお願いすることも1つの手です。但し、その代わりに契約書の中でリスクを前オーナーにヘッジすることもあるので、弁護士等とも相談して対策を練るとよいでしょう。
M&Aが進んでいても、気持ちを切らず、普段以上に業績にコミットして下さい。業績が落ちた場合は、減額や、最悪の場合、ブレイクに繋がることもよくありますので、留意が必要です
M&Aを成功させるためには、事前の準備が不可欠です。企業価値評価や全株主との協議、企業情報の言語化・整理・資料作成等、詳細な計画を立てる必要があります。一番大切なフェーズといえます。
買収候補への打診は、M&A仲介会社や専門家を通じて受けて行われます。一般的に、匿名情報(ノンネームシート)という匿名情報で打診し、買い手が関心ある場合は、秘密保持契約書を締結の上、企業概要書(インフォメーションメモランダム)を開示します。
デューデリジェンス(Due Diligence)は、買収企業がターゲット企業の財務状況や事業内容、リスクを詳細に調査するプロセスです。税理士、会計士、弁護士等が起用されます。
デューデリジェンスの結果を踏まえ、買収条件や価格について最終的な交渉を行い、契約を締結します。契約書には、買収条件や買収後の対応等が明記されます。
M&A完了後、買収企業とターゲット企業の経営を統合します。経営統合には、組織の再編や従業員の統合、システムの連携等が含まれます。
事業承継に課題を抱える経営者の方は、ぜひ一度、Icon Capitalへご相談下さい。Icon Capitalは、経験豊富なアドバイザーがパートナーとなって事業承継やM&Aに対して助言・投資を行う会社です。
積極的にM&Aを検討している経営者様だけでなく、まだ承継の意思が固まっていない方や、赤字だけれどM&Aは可能なのか知りたい方等、幅広い相談を受け付けています。
無料相談は随時受け付けていますので、お気軽に電話またはメールでお問い合わせ下さい。手数料体系は、明瞭な完全成功報酬(譲渡価格×〇%)を基本としておりまして、他社様に比べてもお得な水準です。
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