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親族内承継

親族内承継の基礎知識:円滑な事業引き継ぎのためのステップと注意事項を専門家が解説

会社の経営を後継者に引き継ぐ事業承継には、引き継ぎ先別に「親族内承継」「従業員等への承継」「第三者への承継(M&A等)」の3つの種類があります。この記事では、上記3つのうち親族に事業を承継する方法である、親族内承継の手順について解説します。

なお、以下の記事で親族内承継の概要や事例について解説していますので、本記事と併せてご覧ください。

親族内承継の基礎知識:親族内承継の概要や考慮すべき点を専門家が解説

 

1.親族内承継の手順

 

親族内承継の流れは大きく下記5つのStepで進められます。事業継続や相続税の負担軽減に向けて、遺言書作成や税金対策等をしっかりと行い進めることが重要です。

 

以下にてStepごとに解説していきます。

 

Step1:親族内から後継者を選んで育成する

事業を継続的に成功させるためには、後継者の選定と育成が重要です。適切な資質を備えたメンバーを選び、経営者としてのスキルと知識を身につけさせることがポイントとなります。

後継者は、必要なトレーニングや能力開発を行えるよう、早い段階で選定することが望ましいです。また、早い段階で、親族や従業員、その他の利害関係者に後継者について周知することで、より円滑に承継を実現出来る可能性が高まります。

 

Step2:株式等の資産の承継準備をする

親族内承継を行うためには、自社株等の資産を移転する必要があります。事業承継の早い段階で、株式の所有割合等を明確にしておくことが望ましいです。そうすることで、将来の意思決定や経営管理が明確になり、トラブルの予防にもなります。さらに、会社資産の譲渡による法的・税務的問題から、後継者を保護するための対策を講じることが可能になります。

 

Step3:従業員や取引先に事業承継を周知する

従業員・株主・取引先に、事業承継について周知するタイミングや方法も重要です。事業承継のプロセスを早期に開示することで、利害関係者は経営者の交代に対応するために必要な調整を行うことが出来ます。また、懸念事項があればそれに対処し、円滑な移行のために必要な措置を講じることも可能です。

 

Step4:実際の株式や会社資産の承継手続きを行う(相続・生前贈与・遺言等)

親族内承継の場合、慎重に遺言等を作成する必要があります。遺言によって、相続時に重要な会社資産や株式を、指定した後継者に譲ることが出来るためです。

また、生前贈与によって株式等を引き継ぐ場合には、節税対策を検討する必要があります。

 

Step5:借入等の個人保証を後継者に変更する

現経営者が会社の借入の個人保証や、個人資産を担保に入れている場合には、金融機関と交渉をして保証や担保を外し、後継者に替える必要があります。変更がスムーズに行えるように、事前に対策しておくことが重要です。また、事業承継時の個人保証の解除についての対策は、中小企業庁の対策ページをご参照下さい。

 

2.親族内承継を進める際の注意点

事業承継を希望する場合には、早い段階から計画的に対策を講じることが重要です。特に親族内承継は、親族だからこそ注意すべき点を考慮して行うことが求められます。以下に代表的な注意点を記載しますので、参考にして下さい。

 

①後継者を早めに決めて対策を講じる

親族内承継を成功させるポイントは、後継者を早期に決定し、その育成に必要な対策を講じることです。誰が経営者に最も適しているかは、意欲・野心・経営センスといった、個人の資質や適性に基づいて判断すべきだと考えられます。後継者選びが原因で、事業が衰退するケースも多いので、意思決定には十分に注意する必要があります。

 

②公正証書遺言を作成する

事業を親族に引き継ぐことを決めたら、遺言書の作成を行う必要があります。遺言書には「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」がありますが、事業承継においては、公的な証明性の高い「公正証書遺言」を作成することが重要です。公正証書遺言があれば、不測の事態に備え、現経営者の希望に沿った承継手続きを行うことが出来るためです。準備が未だの場合は、専門家に相談して遺言書を作成することを推奨します。さらに、状況に変化があった場合には、その都度遺言書を更新することが重要です。

 

③相続税や贈与税等を考慮して承継方法を決める

相続時には相続税が、贈与時には贈与税が課されます。例えば、株式の相続の場合、経営者に退職金を支払う等して株式の評価額を抑える、生前に数年に分けて贈与することで節税出来るケースもありますので、専門家に相談することが推奨されます。

 

④有利な税制や補助金の最新情報を入手しておく

事業譲渡に伴う節税のためには、状況に応じて有利な税制や補助金等の最新情報を事前に入手することが重要です。現在は、事業譲渡に関する特例措置等が用意されており、活用次第で関連する税金を繰り延べることが可能なケースもあります。また、事業承継や後継者育成のための補助金もあるので、最新情報の把握は非常に重要です。以下に代表的な支援の仕組みをピックアップして記載しますのでご参考下さい。

 

事業承継税制(特例措置)

非上場の株式等の承継に伴う贈与税・相続税の負担を実質ゼロとする特例措置です。2026年3月までに特例承継計画を提出し、2027年までに事業承継を実施する必要があります。詳細については、以下のサイトをご参考下さい。

中小企業庁「法人版事業承継税制(特例措置)」<https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/shoukei_enkatsu_zouyo_souzoku.html>

 

事業承継・引継ぎ補助金

事業承継にかかる専門家活用費用や事業承継・引継ぎ後の設備投資や販路開拓、設備廃棄費用等の支援を目的とした補助金です。詳細については、以下のサイトをご参考下さい。

事業承継・引継ぎ補助金公式ホームページ <https://jsh.go.jp/r4h/>

 

事業承継・引継ぎ支援センター

全国47都道府県で、事業承継全般に関する相談対応や事業承継計画の策定、M&Aのマッチング支援等を原則無料で実施している機関です。詳細については、以下のサイトをご参考下さい。

事業承継・引継ぎ支援センター公式ホームページ <https://shoukei.smrj.go.jp/relative_inherited_support.html>

 

3.まとめ

親族内承継は事業承継をする上で一般的な選択肢の一つです。しかし、様々なリスクが内在するため、綿密な計画と慎重な意思決定が求められます。中小企業の経営者は、専門家のアドバイスを活用し、可能な限り円滑な事業承継に繋げられるような選択をすることが重要です。

 

4.事業承継の相談先

事業承継の課題を抱える経営者の方は、ぜひ一度、Icon Capitalへご相談下さい。Icon Capitalは、経験豊富なアドバイザーがパートナーとなって事業承継に対して助言・投資を行う会社です。

弊社は第三者を譲渡先とするM&Aだけではなく、一度弊社が経営者から株式を譲り受けさせていただき、その後、長期間に渡り従業員に株式を付与していく「従業員承継投資」を行っております。経営者にとっては、引退資金の確保が出来るだけなく、従業員承継を達成出来るという、唯一無二の課題解決方法です。

積極的に従業員承継を検討している経営者様だけでなく、まだ承継の意思が固まっていない方や、赤字だけれど承継は可能なのか知りたい方等、幅広い相談を受け付けています。完全成功報酬の透明性の高い報酬体系ですのでご安心下さい。

無料相談は随時受け付けていますので、従業員承継を検討してみたい場合には、お気軽に電話またはメールでお問い合わせ下さい。

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